映画レビュー千本ノック 1/1000 『ガメラ 大怪獣空中決戦』
オカルト+リアルな軍事描写+怪獣=最高!!
今回から始めた企画、「映画レビュー千本ノック」。
その名の通り映画の感想を1000本ひたすら書いていくというものです。
一日一本やっても三年ぐらいかかるので本当に完走できるのか不安はありますが、「100本だとすぐ終わりそうだし、300や500って半端じゃね?1000いけるべ!」という頭の悪い発想からこの企画を設定しました。
そんなこんなでとりあえず1/1000本目は『ガメラ 大怪獣空中決戦』!
1995年公開で、監督は金子修介(本編)、樋口真嗣(特撮)のタッグ!
樋口真嗣監督といえば、近年では『シン・ゴジラ』の特技監督としても有名ですが、その原点とも言えるのがこの平成ガメラ一作目の『ガメラ 大怪獣空中決戦』なのです!
作品誕生の時代背景
大映で制作され、1995年の3月に公開した本作。横の軸で同時代の怪獣映画を見てみると「平成ゴジラシリーズ」では『ゴジラvsスペースゴジラ』が1994年の12月に公開されていました。
どうも本来は初代ガメラ公開から20年の節目に当たる1985年にリブート作品を作る計画だったはずが、「平成ゴジラシリーズ」一作目の『ゴジラ(1984年版)』が当たらなかったため計画が頓挫。
その後、「平成ゴジラシリーズ」が当たり始めたことで再びガメラのリブートの話が持ち上がり、1995年の公開に至ったそうです。
横の軸で「平成ゴジラシリーズ」が試みていたハードなSF描写(成功しているとは言ってない)とリアルな物語(成功しているとは……)の影響を「平成ガメラシリーズ」は多分に受けているでしょう。
と、言うよりも、「平成ゴジラシリーズ」がなし得なかった「怪獣映画を大人の鑑賞に耐えうる形で作り上げる」というテーマを、ゴジラでの反省を活かして踏襲し、日本産特撮怪獣映画の一つの完成形を見せたのが「平成ガメラ三部作」だと言えるでしょう!
見どころ
なんといっても設定がまずサブカル好きにはたまらないものになっています!
超古代文明の遺産である人工生命体、ガメラとギャオス。単為生殖と驚異的な成長スピードで人類に襲いかかるギャオスに、古代人が残した最後の希望、地球の守護神ガメラが立ち向かう!
古代文明の設定にはどうもアトランティスやらルーン文字やら古代日本文明やらが絡んでいるらしい!諸星大二郎的な匂いがしてきました!これはもう、オカルト大好き人間からしたら大好物のフルコースですね!
そしてヒロインがかのスティーブン・セガールの娘でお馴染みの藤谷文子さん!
藤谷さんは現在もハリウッドで女優として活動なさって居るようです。この頃は特にお父さんの面影が残っていてセガールファンとしては見ているだけで楽しくなってきます。
特撮は、90年代中頃なので合成などにまだまだアラが多く、今見ると多少厳しいところはありますが、かなり残酷な破壊描写や、ギャオスの超音波カッターの描写のかっこよさなど見どころは盛りだくさんです。さすがは樋口真嗣特技監督。
何より、ラドンなどの鳥型怪獣の最大の弱点である「怪獣プロレスができない」という点を、ギャオスは克服しています。まぁ腕短いから不利だし、すぐに止めてまた飛ぶんだけどね。仕方ないね。
自衛隊の協力を得ているので、軍事描写の緻密さ、リアルさも折り紙つきです。どっかのすぐ超兵器を導入する国防軍と違って、登場する兵器は自衛隊が実際に運用しているものが登場しており、「実際に日本に怪獣が攻めてきたらどうするか」という『シン・ゴジラ』でなされたシミュレーションをはるか昔に行っていたのです。
ある意味『シン・ゴジラ』の原点の一つと言えるでしょう!
そして平成ガメラの最大の魅力は、ガメラが傷つきながらも何度でも立ち上がって戦う漢の背中を見せるところでしょう!
本作でもそうなんですが、この件に関しては今後『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』を取り上げた回で熱く語りたいと思います!
この作品は本当に大好きなので、語りたいことは他にいくらでもあるのですが(怪獣映画特有の無能な政府高官がナイスな件とか、爆風スランプの歌う主題歌がいい件とか……)、無限に長くなりそうなので今回はこの辺で!
これからも映画レビュー千本ノックを続けていくのでよろしくお願いいたします!